◆ しらいしりょうこ(vo,p)・柴草玲(vo,p,acc)「彼のいない彼の部屋で彼女と2人」guest room:川村結花(vo,p)@南青山MANDALA 6/20
さて、西荻駅前のマンガ喫茶で数時間眠りまして、酔いが醒めていること確認し、栃木へ。
家に帰ってから、庭の畑で、娘と妻とトカゲ探し。一時間以上格闘。3匹つかまえる。汗だくです。
そこから、家族で外出し、昼食と買い物。
寝不足に気づいて、帰って1時間でも寝る旨宣言し、その通りさせて頂く。
そして、向かったのが、南青山マンダラ。
先月8日以来ではありますが、随分ひさしぶりに思えてしまう柴草玲さんのライブです。
◆ しらいしりょうこ(vo,p)・柴草玲(vo,p,acc)「彼のいない彼の部屋で彼女と2人」guest room:川村結花(vo,p)@南青山MANDALA
しらいしさんは、なんとも清涼感のある素敵な女の子の魅力があって、そういう意味では、私のような好き者が出かけるライブで巡り合うチャンスは少なかろうというタイプの表現者です。前回は、イケメンのスタジオ・ミュージシャンをバックに従えたバンド編成で、昨年、同じタイトルのイベントを見せて頂きました。なんともキラキラして、そして、かわいらしい感じです。でも、そういう彼女が、柴草玲さんの音楽をこよなく愛しているのがなんとも、女性ってものの奥深さを教えてくれたりするような気もいたします。ピアノのみの伴奏が大半だった今回の公演でも、同じような印象はやっぱり変わりませんでした。
さて、今日、初めて生演奏を見せて頂いたのが、川村結花さん。人間が出来ている感じで、且つ、プロフェッショナルの香りが漂っていました。しかも、こういうシチュエーションで、柴草玲さんとの「ワインレッドの心」、「春夏秋冬」「サヨナラCOLOR」とカバー曲が並び、それぞれ素晴らしく歌心あり、説得力のある、なんだか含蓄のある歌と演奏で、すっかり凝視してしまいました。素晴らしい。そして、中孝介「空が空」のセルフカバーが、見事につながる。良い歌ですね。素晴らしかった。泣かせる。かっこいいなあ。・・・いやあ。やっぱり、お話したかったです。「Here There」のこと。青木達之のこと。
そして、お目当て。この人が出るから、今日、私は、ここへ来ている・・・そう、柴草玲さんは、目を離せないような、見てはいけないような、でも見たい、というような。他流試合っぽい、アウェイ感のある中で、「オレーオレオレオレ」の歌がムカツクとか、あまり口に出しづらい発言に、共感したりいたしました。ちなみに、私は、清原が打席に立つと流れる「ぅおーぅおうぉうおぅおうおうおー」ってのもダメな口。きっと玲さんもそうでしょう。そういうところ、私は、結構、玲さんと近いところがあるのだ。無駄に人見知りなところとか。そこに共通項を持ちつつ、この人でしかなければという音楽のスゴイ才能を見せつけるから、振幅があんまり大きくて、びっくりしてしまう。でも、ときどき、玲さんは、そのことが小さなことだと本気で思ってらっしゃるように感じるときもあるのだ。
玲さん。終演後、「お元気そうでよかったです」と声をかけてはみたものの、実は、「もしかしたら、ちょっと元気ないかな」「こう蒸し暑くてはなあ」とか、実はいろいろ思いました。でも、みんな人それぞれ、平均体温は違うもの。お元気だったら、いいなあ。柴草玲が「さげまんのタンゴ」を歌わなくなるとき、僕らはまた新しい世界に連れてきてもらえるような気がする。
昨年暮れに、あるイベントで、前向きな歌をシンプルなメロディに載せて弾き語りする女性達ばかりが出演していたイベントに、なぜか玲さんも出演されたとき、終演後、話しかけたことがある。「こういう中で、玲さんの歌は、特別で、異質で、どうしてこんなにいいのか、なにがそんなにちがうのかって考えて、その答えのひとつは、音楽って、それだけを突き詰めていったとしたら、実は、かなりしょーもないことでしかないんだって、そのことを判って、しかし、真剣にやってらっしゃるからではないかと思っている」と伝えたことがある。随分失礼な言い方だけど、たぶん、それは真実だ。音楽とは、素晴らしいものだけど、そんな簡単に素晴らしいものなわけじゃじゃないんだ。つきつめなければ。そして、つきつめた先にも、そんな大したものがあるわけじゃないんだ。でも、つきつめた人間だけがわかる、その先に広がっている、荒涼とし殺伐としているかもしれないが、確かに広がっている景色。そういうものを、私は、彼女に見せてもらっている気がしている。それは、僕にとっては、玲さんがさげまんかどうかってことよりも、ずっと大事なものだから。そんなもの裸で見せてくれる人、そうはいないのだから。
今夜も、玲さんの歌、聴けて、良かった。また、来月も出かけます。僕は、今日の川村結花さんの姿勢や歌に、玲さんのそれが見事にコントラストを描いていたようにも感じ、そのことが、玲さんの音楽が、これから更に力強く響くきっかけになっていくような気がする。「アクアリウム」や「金魚」そして「あじさい」のような美しく寂しい歌を聴きながら、ああ、これだけでいいんだって、そう、感じていた。自分勝手な言いぐさですけど。柴草玲も、また、小沢健二や渋谷毅と同様に、僕にとって、ぼくの夢・ぼくの願いを、時間をかけて、いつか、叶えてくれる人なのだ。きっと。そう思っているのです。
音楽ファンも寂しいものだと、渋谷さんのことを思い、玲さんのことを思い、オザケンのことを思う。しかし、今日の「空が空」で、川村結花さんはこう歌っていた。
「寂しさは弱さじゃない」と。
・・・そうですね。俺たちは、結構、強い。だから、待てるのかもしれませんね。
(追記~しらいしりょうこさんのブログよりセットリスト。改めて、得難いライブを企画してくださったしらいしさんに感謝です。)
<セットリスト>
~しらいしりょうこ~
1 笑まひ
2 泣いているのに
3 はじまりのキス
~しらいしりょうこ&川村結花~
4 ざくろ
5 アンフィルム
6 夜空ノムコウ
~川村結花~
7 春夏秋冬
8 サヨナラCOLOR
9 空が空
~川村結花&柴草玲~
10 あんたの冷や汁~あんたのどや顔
11 ワインレッドの心
~柴草玲~
12 ホテルおぎくぼ
13 金魚
14 あじさい
15 さげまんのタンゴ
~柴草玲&しらいしりょうこ~
16 アクアリウム
~柴草玲&しらいしりょうこ&川村結花~
17 夕日が沈んだら
~柴草玲&しらいしりょうこ~
18 真冬の向日葵
ーアンコールー
ウォータープルーフ(3人で)
2010.6.20@南青山MANDALA「彼のいない彼の部屋で彼女と2人」