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2010年8月

2010年8月31日 (火)

◆渋谷毅 takeshi shibuya Piano Solo at Uramado -夜の部-@新宿・裏窓 8/29

夕方6時からの「午後の部」に続いて、8時からの「夜の部」も寄せてもらうことにした。多くの人に聴いてもらいたいということで、入れ替え制なのだが、店主に少々無理を言って、前売りを購入する際にお願いしたのだ。もちろん、2回分の代金だ。ありがたかった。

思えば、この「夜の部」で、私は、渋谷さんご出演のライブに出かけた回数が、ちょうど100回目となった。最初は、1996年12月の小沢健二のコンサート「lover」@大阪だ。でも2回目は、2008年4月5日のアケタの店の夜中のソロだ。つまり、2年と5ヶ月で99回。好きになるというのは、そういうことであったのだ。

そんなことは話さなかったけれど、休憩時間、狭い店だし、渋谷さんと少しお話して、それから、旧知の友人も夜の部に向けて来店。その友人は、先週末、アケタ夜中のライブ後、一緒に飲んで、しかも、私の記憶がないという、そういう美女であり、その日以来だから、まずはお詫び。やはり、先週末は、ゴキゲンだったらしく、相当、愛を語っていたらしい。渋谷さんの音楽への愛。かなり恥ずかしい。でも、大ファン同士、そういう空間は、悪くない。記憶にないのがやっぱり悔しい。

今夜もお酒が進み、はじめての場所が、随分リラックスできる空間に変わっていく。相変わらず、一番端に陣取る。渋谷さん「お待たせしました」「6時の部からいる人は、同じ曲が二度聴けます」とお断り。ええ、ええ、大歓迎!演奏がはじまる。

◆渋谷毅 takeshi shibuya Piano Solo at Uramado -夜の部-@新宿・裏窓 8/29

今度は、いきなり「マイ・マン」から始まる。深い感動、再び。「ジャスト・ア・ジゴロ」にはつなげず。夜の部では、ソロでは聴いた記憶のない「炎の向こうに」を弾いてくださった。それに、午後の部同様「ルッキン・グラス」で終わろうというところ、最後にもう一曲と「ビヨンド・ザ・フレイムズ」。やはり、裏窓では、この曲を聴きたかった。

ここにも前書いたけど、渋谷さんは、浅川マキさんと演奏しているときが、最高に格好良かったと思うのだ。なにか乗り移っているような、鬼気迫るものを感じることもあったし、戦っているような、緊張感もあり、マキさんへの敬意が、妥協のない演奏にあらわれているような気がしていた。ここでは、大きなマキさんのポスター、そして、浅川マキのことを軽く話題には出す気にはとてもなれない店長の前で、そして、彼がつくりあげたこの空間で、なにか、やはり、その、えらくカッコイイ渋谷さんが、いたような気にもなった。

不思議なお店だ。また行ってみたい。本当に幸せな気持ちで、飛んで帰った。同時に店を出た渋谷さん、新宿駅への道すがら「まだ少し早いから飲んでいく?」と聞いてくれるが、明日のある身、今夜は遠慮して。でも、十分、酔っ払いました。何杯飲んだんだろう。また、自己嫌悪の翌週が始まるということか。わかっちゃいるけど・・・ねえ。

でも、しあわせだった。

◆渋谷毅 takeshi shibuya Piano Solo at Uramado -午後の部-@新宿・裏窓 8/29

前夜、グレイスさん達のイベントを観て、東京の宿に帰り、一眠りして、朝。妻子と向かうは、大宮。今日も、プリキュア、でございます。劇団飛行船ミュージカルショー「ハートキャッチプリキュア!」@大宮ソニックシティ大ホール。娘は、結構喜んでいたと思う。「プリキュア、がんばれ~」とかね、叫んでた。私も、敵役がプリキュアの後方から迫っているシーンでは、「(志村。)うしろ、うしろ~」と、こういう舞台でのお約束を、娘に指導しておいた。

舞台が終わって、昼食を食べて、栃木へ。

そこから私だけ再び、東京新宿へ。しばらくぶりの電車移動です。一週間ぶりに飲みたかったのだ。

人生初のゴールデン街。飲まないのもあんまり寂しいと思いまして。なるほど、敷居は高いけど、それぞれ居心地が良さそうなお店が並ぶ。

そんな中にある裏窓。

ブログ書いてて日が暮れちゃうので、これから感想は短めにしますが、いやあ、また来たいと思いましたよ。ぎゅーぎゅーに詰めて10人入れるくらいの店。なのに、アップライトのピアノ。かつて浅川マキさん所蔵のピアノが、ここにあるのだそうだ。マキさんの大きなポスター。しかも、入店したら、渋谷さんとのデュオの傑作『ちょっと長い関係のブルース』がいきなりかかっている。ああ、これはいい空間だと、一番端っこ、入り口のところに陣取る。30分ほどで渋谷さんの演奏始まる。

◆渋谷毅 takeshi shibuya Piano Solo at Uramado -午後の部-@新宿・裏窓 8/29

ああ、すばらしい。ピアノは、不思議な響き。「マイ・マン」を聴きながら、マキさんのポスターを眺めていたら、涙が溢れた。狭い店だから格好悪いったらないが、ハンカチを取り出す。つづく「ジャスト・ア・ジゴロ」に涙が止まらない。何十回も生で聴いている二曲なのに。やはり、何かいるのでしょう。この店は。演奏は、1時間ちかく、たっぷり。幸せでした。

◆歌種【うたたね】@四谷三丁目メビウス 8/28

煙草をやめると、食事が美味しくなるというが、特段そういうこともなく、或いは、口ざみしくて食べる量が増えるとかいわれるが、それもなかった。だから、思いっきり油断していたら、禁煙して5ヶ月で、体重は7キロも増えてしまった。気にくわない。デブでダサイ。身体重くて、疲れる。健康不安もある。どうあがいたところで中年だと認めてはいるが、周りからあれこれ言われるのも気に入らないんだ。欲望のまんま生きてることが体型にあらわれてるのも、イヤな気分なのだ。

何がいけなかったか?まず、酒が増えた。これは、対策済みだ。いや、今、ある事情で、飲めないのだ。ひとつ前の日記に泥酔の記録があるが、その日以降、まだ飲んでいない。(実は、背中を手術しまして、5針縫っている。抜糸までは、飲む気がしないのです。)

ついでだ!ってことで、食事制限を始めた。私は背が低くて164cmなのだが、short people got no reason to live とまで思わないけど、標準体重から見た適切なエネルギー摂取量は、かなり小さく見積もらないといけないのは、実につまらない。計算しましょう。1.64×1.64×22=標準体重59kg。59kg×25kcal=適切な一日当たりエネルギー摂取量1,475kcal・・・とのことだ。

・・・わかったわかった・・・と、ところ天だの、サラダだの、そう、漬物だの。そんなのを中心に、低カロリーの食生活を4〜5日ほど続けたら、体重は3キロ落ちた。今、69キロ。それでも、標準体重まで10キロもある。道は険しい。私も、かつて美少年だった頃は、体重はそんなもんだったが、今や、人生態度が腹まわりにあらわれてる。内蔵脂肪にあらわれてる。やっぱり恥ずかしいことだ。

ちなみに、私は、食品会社なんて経営してるけど、全く食い道楽じゃない。グルメでもない。一番の好物は、白いご飯だ。おかずなんて何だっていいのだ。でも、そういう嗜好を持っていると、これは太りやすいということになるのだろう。しかたない。ご飯を徹底して減らすことにした。割り切れば、出来ない限りじゃない。

身体が軽くなれば、いろんなことがラクになる。その為に。

だが、食わないダイエットというのは、結局、どこかでドカ喰いして、失敗するのだそうだ。基礎代謝を上げるような運動が必要というわけ。そうだな。・・・だが、運動なら、基本は、「家事」だ。或いは「子供と遊ぶ」だ。そういう「肉体労働」を通じて、エネルギーを燃焼さすのが望ましかろう。

そうやって、タバコをやめて、酒を控え、食事を控え、家事をたっぷりやって、子供と目一杯遊んで、もちろん、しごとは、せきにん果たしつつ・・・ご立派なもんだよ。だから、夜な夜な、2〜3日に1回のペースで、ライブ遊びに出没するくらい、ねえ、ゆるしてやってくださいよ。年間4〜500枚のペースでCD聴くのも、ねえ、ゆるしてやろうよ。それくらい。あと、いくつか、ゆるしてほしいこと、あるけど、それらも、みんな、本当にちいさい話だよ。

でもね、こういうちいさい話から片付けていかないと、何も先には進まない。そう感じてしまう俺だ。いいさ!何はともあれ、近々、標準体重まで持っていくのだ。10kgくらい軽く落とす。

さて、そんな感じで、ちゃんと反省した一週間を過ごし、前週末に子供との約束を見事にキャンセルした池袋サンシャインの「ハートキャッチプリキュア ! おしゃれガーデン」に、28日、妻子と出向くことが出来た。娘は、キュア・マリンの格好で登場。他の子供達から熱い視線を浴びていたらしい。わはは。たっぷり娘と遊ぶ。満足。(今年のプリキュアは、歴代で最高にかわいいと思う。やはり、幼児向けってことを考えると、これくらいフィクションなかわいさでいいんだと思うのだ。)

宿に妻子を送り届けたのち、ひとり向かうは、四谷メビウス。ライブです。グレイスさんのシャンソンショー(<早口言葉也)を玲さんがサポートするデュオが見れるということで。主催は、是枝みきさん。

◆歌種【うたたね】@四谷三丁目メビウス 8/28
(第一部)
是枝みき(歌)
佐藤美由紀(ピアノ)
川波幸恵(バンドネオン)
西澤守(スペシャルゲスト・歌)
(第二部)
GRACE(歌、パーカッション)
柴草玲(ピアノ、歌)

最初は、是枝さん達のアルゼンチン・タンゴ。不思議な郷愁がありますね。

僕は、若い頃、あがた森魚さんの『バンドネオンの豹(ジャガー)』というアルバムが心底、大好きだった。その流れで、カルロス・ガルデルとか、アストル・ピアソラとかを聴いてた時期があるのだけど、がっつり没入まで行きませんでした。どちらかというと、「小さな喫茶店」や、服部良一の「カスタネット・タンゴ」「タンゴ物語」とかの懐メロの方が心に残っているくらい。

だから、今夜は、異文化に対する畏敬の念で、聴かせて頂いた感じ。タンゴのみなさん、ステキでしたよ〜。西澤守さんの歌入り「ラ・クンパルチータ」とか、ぐっときました。楽しかったな。

休憩はさみ第二部は、お待ちかね、グレイスさんと柴草玲さんのデュオ。グレイスさん作のシャンソン。ジュリーに提供しようとしたらボツになった曲とか、いろいろお馴染みのナンバーをシンプルなドラムセットで聴かせて頂いた。沢田研二のコンサート、また行きたくなってしまった。最後、唯一のカバー「人生は過ぎゆく」を聴きながら、グレイスさんの情熱的な人生を思った。俺は、この歌のように、人を愛したことなんかないものなあ。憎んだことはあっても。どきどきするばかり。

玲さんの曲は2曲。一曲は、「おやすみ」。そうか、夏の終わりの曲でしたか。だとすれば季節はずれに、昨年の3月3日に聴かせて頂いたこの曲にしびれて、玲さんのファンになった思い出の曲だ。『イヌラジ』エンディング・テーマで、毎週聴いてます。ひさしぶりに聴けてうれしかった。もう一曲は、「さげまんのタンゴ」ではなく、「神よ、彼らの股間に」でした。

思えば、玲さん出演のライブに私が出かけたのは、この1年半ほどで、今日が28回目。その中で、「さげまん」が歌われなかったのは、4回だけ。「しぶやさんといっしょ!」の客演、「昭和歌謡祭」の青江三奈特集は別として、田ノ岡三郎(acc)さんのライブの客演と今夜(対バンがタンゴ)は、「さげまんのタンゴ」がはまりそうな場所で、演奏しないところが、なんとも。でも、是枝さんや西澤さんの前で聴きたかった気も。

それにしても、おふたりのコンビネーションはさすが。音楽的な対話。見事なものでした。

満席だったので、関係者席の脇に寄せて頂き、ホシノのあゆみさんと並んで観たのも楽しかった。いい晩でした。挨拶して、とっとと帰った。長い一日だった。

2010年8月24日 (火)

◆渋谷毅(pf)ソロ@西荻窪アケタの店・夜中 8/21

(前の日記からつづく。)
テラをあとにして、店を代えて、また少し飲んだ。本当は、テラで時間をつぶしてもよかったのだが、ライブ終了後に常連客のいる中で、ひとりでいるのはやや寂しい。いつも演奏が終わるとぱっと帰りたくなるのは、寂しさ・罪悪感・或いは、感動した自分の照れかくし、のどれかなのだ。

夜11時半。結局、仮眠はとらず、少し早いけど、アケタの店へ。ここで三度、飲み直し。夜中の最初の客になった。続いて入って来たお客さんが、いつも柴草玲さんのライブでお目にかかる女性で、びっくり。前回、横浜での柴草玲さんのライブで少しお話をした際に、渋谷さんのアケタの夜中、素晴らしいですよと、話したのを、覚えていてくれたようだ。恐縮。

私は、渋谷さんと玲さん、おふたりの大ファンなのだが、実は、あんまりファンはかぶらないかなとも思っている。渋谷さんは抑制された美しさ、玲さんは激情のなかに浮かび上がる美しさ。音楽性もだいぶ違うと思う。パーソナリティも、あまり共通項ないように思うし。でも、好きなんですよ!おふたりとも。というわけで、玲さんのコアなファンの彼女に、渋谷さん、いいよ~!と話すのは、必然なのでした。どうだったかな?

◆渋谷毅(pf)ソロ@西荻窪アケタの店・夜中 8/21

めちゃ、しあわせな気分だったことは間違いない。

しかし、この日は、久々に大量に飲んでしまい、演奏自体はあんまり記憶にないのだ。
渋谷さんのライブで、そういうことは珍しい。

しかし、すごくよかったに決まってる!と書いておく。

で、最初の客なのに、最後の客にもなるという悪いパターン。ああ、アケタの島田さんにも、ご迷惑をおかけしてしまった。

しかも、そんな状態なのに、前述の玲さんファンの女性と、もうお一人、渋谷さんの大ファンの女性。このお二人の美女と、お店が(たぶん)3時頃、仕舞ってから、ジョナサン(たぶん)で、始発待ちで、飲み直し。飲んだのは私だけだろうが。渋谷さんの話、玲さんの話、たくさん、したのだろう。ゴキゲンな状態で。覚えていないが、しあわせな男だよ。

記憶がない状態で、宿に着き、爆睡。娘に起こされる。今日は、池袋サンシャインで、ハートキャッチ・プリキュアのイベントに出かける予定だったのだ。・・・ごめん。ムリ・・・。あいすみません。来週に変更。昼過ぎに起き出して、そこから、重度の二日酔いと戦いつつ、娘とたっぷり遊んで、心身ともに果てました。その夜、予定していた渋谷さんと津上さんの「無銭優雅」のライブはあきらめて、栃木に帰った。

はあ。酒、やめよう。ねえ。いいトシして・・・。前回のパンチのライブで、長見順さんも、「もう、ねえ、いい歳なんだから、記憶なくすような飲み方はしなくなったわ」とおっしゃっていたが、たぶん、それでも、順さんもたまになくすくらい、飲まれるだろう。十分気をつけるようになったということなんだろう。俺も、気をつけよう。

というか、本当にやめようかな。アケタの島田さんも、「煙草もお酒もとっくにやめましたよ」とおっしゃっていた。偉いなあ。この仕事していて、スゴイ!「習慣性のあるものですからね」と。そう。でもな、ジャズのライブハウスで、酔客(客だけじゃないか)を見ていて、酒はよくないって思ってこられたのだろうなあとも、理解。

アルコールが過ぎた翌日のうつ状態は、このあと、月曜日まで続きまして、もう本当に、当分、やめようと思っております。ひどい自己嫌悪。馬鹿ですねえ。

それにしても、渋谷さんのライブの感想で、「酒、やめよう」って書くのも、なんだかかなり妙な感じがするのだが。

◆湯川トーベン ソロ&トリオ@西荻窪テラ 8/21(第二部(トリオ)の途中から)

土曜日。朝、栃木を発って、サンリオ・ピューロランドに向かう。8時半に出発したはずが、渋滞とカーナビ不調とで、ランド着が13時半。ここまでで既に小旅行状態でぐったり。とはいえ、娘4歳は、そこからのサンリオワールドを満喫。ここで、19時半くらいまで過ごしたか。6時間遊びっぱなし。わあ。娘の遊びのお手伝いをする我々夫婦も、彼女の笑顔に疲れを忘れ、結構楽しい時間を過ごした。まったく不思議なものだ。娘がいなければ行く機会はまず考えられない場所に来て、自分もまた、そこそこ楽しんでいるのだから。

人生なんてものは判らないものだ。普段の生活における主義主張なんて、もっと大切なことが現れれば簡単に吹き飛ぶ。昔、自分にとって肝心なことで、絶対外さないぞと思っていた事どもが、ときに、軽く価値を下げてしまうことに巡り合う。そして、かつてどうでもよかったことが、価値を暴騰させるのだ。娘の関心ひとつで。我が人生、およそ節操のないことよ。

さて、ピューロランドをあとにして、夕食後、宿へ。21時半、私は、西荻窪で途中下車。妻に運転を代わってもらい、妻子は宿へ向かう。私は、これから少しここで時間をつぶしながら、夜中のアケタの店、渋谷毅さんのピアノ・ソロに備えるのだ。

西荻窪駅前にビジネスホテルはない。一軒、ラブホはあるが、気乗りしない宿だ。そういうわけで、電車のなくなるアケタ深夜のライブで開拓したのが、まんが喫茶。全力で子供とお付き合いしてくたびれていたので、そこで仮眠しようと思っていたのだが、パンチの効いたブルースで何度かお邪魔しているライブハウス、テラの前を通ってしまう。今日は誰かな?と看板を見ると、おっ!湯川トーベンさん!しかも、中から聞こえてくる歌声は「ドン・ウォーリー・ベイビー」ブライアン・ウィルソンの名曲(カバー)じゃあないか。ひゃあ、聴きたいな。・・・と、しばし、看板前に立ち止まってトーベンさんの歌に耳を傾けていると、恐らく店長さんが「すごく面白いですよ。今、二部が始まったばかり」と声をかける。そこまで条件揃うと、入らないわけもなく、仮眠は取りやめ。裏口から通してもらい、店内へ。

◆湯川トーベン ソロ&トリオ@西荻窪テラ 8/21(第二部(トリオ)の途中から)

(湯川トーベン(Vo.B)田中"ヤッチ"裕千(G)向山テツ(Dr))

第二部途中からの入場で、トーベンさんのソロは終わっていて、バンド編成のライブだけ聴かせて頂いた。三三七拍子の曲、「600ボルトの男」と続き、ここで、前回のパンチdeデートvol.2で感激した「バンドマン・ブルース」!燃えた!これに続く終曲が、フォーク的な背骨を持ちながら、ガレージなニューウェイブな爆音且つ胸を細かくえぐるような音の、スバラシイ曲。私にとって、湯川トーベンさんは、今も、遠藤賢司バンドのトーベンさんなのだが、エンケン的な何かが、明らかにそこにあった。感動的だった。それは、そもそもトーベンさんにはあったものなのだろう。だからこそ、エンケンという特異な個性の天才が、パーマネントに組むベーシストとして彼は選ばれていたということなんだろう。同じなにかが見えている人なのだ。この人、やっぱりスゴイ!この一曲だけでも、来てよかった、と正直思う。アンコールも、実に格好良く、3ピース・ロックの気持ちよさ、存分に堪能した。いやあ。若いもんには出せない味ですね。人生経験なのかな。参りました。

ロックとか余り聴かなくなった私だけど、最近思うのは、ロックだとかジャズだとかフォークだとかテクノだとかシャンソンだとかジャンプだとかアフロだとかラテンだとか歌謡曲だとか、クラシックだとか、そういうことは、やっぱりさっぱり重要なことではなくて、かなりどうでもいいようなことで、むしろ肝心なのは、どんな人がやってるか、誰がやってるかってことの方で。人間はひとりひとり違いますから、その人の音楽になっていれば。真剣に聴くこちらも、必ずなにかを持ち帰るんですね。

というわけで、トーベンさん。すっごくいいですよ!・・・またしても出会いを紡いで下さったパンチのかわいしのぶさん、グレイスさん、長見順さんに感謝です。ああ、前回と同じ感想だけど、エンケン・バンドが見たいっ!!今、すっごく!

2010年8月20日 (金)

◆廣木光一(g)渋谷毅(p)DUO(ゲスト:鈴木麻美(vo))@大塚グレコ 8/19

今夜は、久しぶりの料理教室。和食。ひじきの煮物やほうれん草のお浸しなど。美味しく出来ました。この教室のこと、ここに書くのは二度目で、以前書いたときにも記載している美少女、それはそれは美しい奇跡のように綺麗な人なんだけど、その人と帰り道に少しお話が出来まして、嬉しかった・・・。実は、彼女は、モデルでもあり(所謂、読者モデル?)、私はたまたま美容室で雑誌を開いていいたら、記憶に引っかかっている美しい笑顔が、名前もたしか・・・という偶然があり、「もしかして」と思って、確かめてみたのだ。やっぱりそうでした。・・・続く。・・・って、つづくわけもないのだが。淡い恋心。幾つになっても甘かねぇ!と遠藤賢司さんもおっしゃる通りだ。

前の日記にも書いたが、美しいものにはひれ伏すしかない。だけど、渋谷毅さん達の音楽もそうなのだが、日常的に「美」と向かい合うのは、なんだか、ツライことでもある。自分が壊れていくような思い。美しいということは、危険なことなのだと。そう思うのだった。

さて、気を取り直して・・・。彼女にも、「ジャズのライブ、行ってるんですか?」と聞かれた。おお。数ヶ月前ペアを組んだとき、ちょっと話しただけだったのだが、覚えていてくれるとは嬉しい。「そうそう。今夜も、これから行くんですよ」と。(「ご一緒にいかがですか?」とは問わないところ、無理めな美女ってことがよくわかるでしょう。同時に、負ける戦はしない、危ない橋は極力渡らないって、私の性格がよく現れている。これは、会社経営にあたっての姿勢でも、同じように現れている私の性格だ。でも、こういう姿勢は、経営にある程度の安定は間違いなくもたらしてくれるし、責任も果たせるってもんだが、でも、「人生態度」としてどうなのか?それをときどき疑問に思う。もっとのびのびと羽根を広げて大空を飛んでもいいんじゃないかとかね。一度きりの人生なのだから。)ちなみに「大塚で」って話したら、彼女はびっくりしていた。何と説明してよいやら。

そうやって一瞬で別れて、極めてハッピーな気分で向かった先は、大塚のグレコ。ほとんど住宅街のど真ん中、その住宅の一室がライブハウスになっているという、なんとも素敵な隠れ家だ。渋谷さんと廣木さんの共演をはじめて聴きに伺った。料理教室を出たのは9時だったのだが、第二部だけでもと思ったのだった。

◆廣木光一(g)渋谷毅(p)DUO(ゲスト:鈴木麻美(vo))@大塚グレコ 8/19 (第二部途中から)

お二人の共作アルバム『ソー・クワイエット』は、もう大好きな作品で、通俗な野望を追わず、目の前にある美しさをひとつひとつ噛み締めているような年の離れたお二人の演奏が、胸に染みた。でも、廣木さんの生演奏に触れたことがなくて、敷居がちょっと高い印象があったのだ。今日のように、半分しか聴けないってタイミングは、初めてのときは、ちょうど良い感じもある。居場所がない感じで3時間弱過ごすのは、結構ツライから。

でも、杞憂でした。居場所あり!店に着いたのは9時半を回っていたので、第二部の途中から入場、結局、全部でも3~4曲しか聴けなかったのだが、いやあ、素晴らしかった。次は、絶対、フルステージで聴きたい!

たぶん飛び入りでゲストの鈴木麻美さんが1曲、「Day By Day」を歌われるところからの入場。遅れてきたのにラッキーです。そのあと、ブラジル的な、静かなサウンドの美しい曲があって、最後が「One For You」(楽譜にそう書いてあった)という曲。いずれもなんともステキで、渋谷さんのピアノと廣木さんのギターの相性のよいこと、そして、見事に、まるで波打ち際の潮流の如く、やさしく、ときにはげしく、ぶつかり、はじけ、流れ、たゆたう、ふたつの個性の混じり方が、すごく美しく、快活で楽しく、もうサイコーの気分だった。ノリノリだった!ここにしかないようなノリなんだ。すごく不思議で、美しかった。渋谷さん、だいぶお酒入っていたのかな、ご機嫌だったし、演奏もゴキゲンだったなあ。音楽が生まれるよろこび、たっぷり味わった、濃密な30分だった。来てよかった・・・。

いいな。本当にステキ。

廣木さんのギターもいいなあ。好きだなあ。
今日の渋谷さんも、勿論、素晴らしかった。

ああ、しあわせがつづくよ。

帰り道、カーステで、ビング・クロスビーの「ジャスト・ア・ジゴロ」をリピートしながら、こういう人生が続いていくなら、それで、ほかに何を望むとか、ムズカシイこと考えちゃっている自分が、実は、どんどん追いつめられてないかとか、いろいろ、余計なことを考え、しかし、また、今日のライブのことを反芻して、やっぱり幸せな気持ちに還って、家に戻ったのだった。・・・そんな夜でした。

2010年8月18日 (水)

◆渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン 8/17

暑い暑い夏の夜。熱い真夏の夜のジャズ。渋谷さんのオーケストラ!3月以来、東京では久しぶりのライブ。すごく楽しみにしていたライブだ!今年まだ2回目だもの。喉が渇いていた。

◆渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン 8/17
渋谷毅(P,Or)峰厚介(Ts)松風鉱一(Sax,Fl)林栄一(As)津上研太(Sax)松本治(Tb)石渡明廣(G)上村勝正(B)外山明(Ds)

3月末から約半年ぶりに聴かせて頂いたのだけど・・・。しびれました。なんて素晴らしいのだろう。渋谷さんのオーケストラは、20年以上になるわけで、伝統芸能のようなものなのかもしれないけれど、聴く度に、新鮮なのだ。そして、手放しで、幸せな気持ちにさせて頂けるのは、毎回変わらない。ユニゾンが印象的に、かっちりと、極めて美しく仕上げられた編曲のもとで、それぞれがのびのびとそれぞれの「人間」の溢れ出るようなソロを取る。「渋谷毅マジック」・・・渋谷さんのオーケストラを聴ける幸せ、これからもずっと続きますように。

お客さんいっぱい!でも、今日のライブから、古澤さんがいない。誰も何も言わないけれど、これからしばらく、渋谷オーケストラのドラマーは、外山さんひとりになるのかもしれない。そのせいもあるのだろう、いつもの曲が、えらく新鮮に響いた。こんなにビートをしっかり刻む外山さん、大きな音のドラムス、最近では珍しいとも思い、外山さんのドラム・ソロにも、ぐっと来てしまった。そこここに、歴史あり、なのだからして。

渋谷さん、ひさしぶりのオーケストラだからなのか、手探り感もあって、最近はめったにやらない「ファーストランナー」を披露して下さったり、新曲「凪」も美しかった。いやいやいや、もう、どの曲も、それぞれ、本当に、うっとり、ああ、大好きだって思いながら、クラクラして聴いた。メンバー全員を拝みたくなるような。そんな有り難さ。本当に美しいものの前では、ひれ伏すよりほかにないのだ。幸せだ。

最後、「スーン・・・」。古澤さんが歌ってきたフレーズは、上村さんが歌い、美しかった。感動の終幕。ところが、更に、たのしいたのしい「ジャズ・ミー・ブルース」がアンコール的に続けられ、更に、「今日はありがとうございました」と、ライブ終了を宣言した渋谷さんがひとりピアノに向かって「ロータス・ブロッサム」。思いがけず。ぐっと、泣けてきてしまう。

なんて、しあわせなんだっ。

(渋谷さんのオーケストラ。「いいのだろうか?俺ばかりこんな幸せで・・・」と、私は結構な罪悪感を覚えて、自分がちょっといたたまれなくなって、ライブハウスを急いで後にするのだった。それくらい、しあわせなのだ。)

■今日の曲目
サイドスリップ
マサ
スリービューズ

ブラザー
(休憩)
もはや違う町
サッチスイートサンダー
ソネット
ファーストランナー
バラード
アイタ
スーン
ジャズミーブルース
ロータス

(・・・どんだけ豪華な夜だったかわかるセットリスト也。)

2010年8月11日 (水)

◆「パンチdeデート Vol.2」@西荻窪テラ 8/10

いつも通り!パンチの効いたブルース。出来れば、毎回、聴きに行きたいと思っている。大体、毎回、同じような選曲、大体同じ印象なのだけど、楽しさ、高揚感や、行ってよかったと思う気持ちも同じなのだから、やっぱり聴きたくなるのだ。でも、このところ、スケジュールが調整出来ず、今日は久々になってしまったのだが、とても楽しみに出かけた。

◆「パンチdeデート Vol.2」@西荻窪テラ 8/10

■パンチの効いたブルース
マダムギター長見順(Vo.G)
かわいしのぶ(Vo.B)
GRACE(Vo.Dr)
<Special Guest>
湯川トーベン(Vo.G)

「あっしにはかかわりのねえことでござんす」で始まって、「舟歌」で終わる王道のレパートリーも、いつも通り。三人の美しさも、いつも通り。ガツンと来る演奏に胸をわしづかみにされるのも、いつも通り。

人生にはいろんなことがあるのは、避けがたい。わかっちゃいても、悲しいことや嬉しいこと、辛いことや楽しいこと、そういうことが巡ってくることには、抗えない。そういうときに、こういう不変の楽しさ、熱さを届けてくれる存在のありがたさは身に染みる。そんなバンドなのだ。パンチ歴わずか2年弱で、言う科白でもないのですが。きっと前からこうだったに違いないと、私は理解してる。その上で、昔の姿が見れなかったのは、とても悔しい。アンテナの低かったことよ。

今日も、第一部最後の「暴走族のボレロ」の美しさが、染みて、染みて。感動した。この曲の無垢なる魂が、天に昇っていくのを改めて実感したのだった。ボレロは、同じ旋律の繰り返しとズレ、微妙な変化、回転し、続いていき、そして、永遠に至るような歓喜の大団円へという、我々単調な日々を繰り返すことで人生を送っている人間を励ますような構造だと思っているのだが、このバンドにもよく似合う。今日も、素晴らしい演奏で、人生が祝福された。

第二部は、湯川トーベンさんをゲストに迎え、また楽しいステージ。忘れられないトーベンさんオリジナル「バンドマン・ブルース」。バンドマンも、また、大変な仕事だ。同じ楽器を弾ける人間はいても、代役の効かぬ人生。いのち燃やすとそういうことになる。だから、バンドマン讃歌は、人間讃歌。バンドマン・ブルースは、人間ブルースであった。感動。・・・あああ、エンケン・バンドが見たい!!

「SM東京」での、しのぶさん大サービスのチョッパー。いつも通りの「舟歌」エンディングのベースが奏でる舟歌の旋律。いつに増して、心に染みました。

そう。このバンドは、いつも、5割増し。今日も、いつも通り、いつもの5割増し。

アンコールの「地域マンボ」。この地域での役割が、みんなを笑わせること、と歌う、この曲も、パンチにぴったり。・・・彼女たちは、なんだって出来る。でも、みんなを笑顔にすることを、ここでは、仕事にしているんだから。そういう場所なのだから、楽しんで頂いて、帰って頂きますという、とても芯の強い、確固たる宣言なんだよね。すばらしい。・・・俺も、いつも通り、いいバンドだよなあと思って、ありがたく、感謝し、そして、いつも通り、楽しませて頂いて、いつも通り、とっとと帰った。

そして、帰り道。いつも通り、思った。・・・最高!長見順!グレイス!かわいしのぶ!最高だよ!パンチの効いたブルース!と。

それから、俺は、今日は、勇気をもらった気がするの。どんなときだって、ひとにツライ顔なんて見せない。どんなキツイときだって、にっこり笑顔を見せる。悲しくて泣きたい時は、夜、一人、枕の陰で、泣く。もっと胸張って、生きていく。・・・俺も、また、みんなを笑わせるのが、仕事なんだもの。生きるってそういうことだと、俺もまた思っているから。・・・がんばろうと思いました。ありがとうございました。しのぶさん。順さん。グレイスさん。トーベンさん。

2010年8月 9日 (月)

◆渋谷毅(p)プラス松倉如子(vo)@高円寺グッドマン 8/6

昨日に引き続き、渋谷さん。年に2回ほどという松倉如子さんとのデュオ。松倉さんは、先月のアケタの夜中の渋谷さんのソロに、飛び入りされた際に、はじめて聴かせて頂いた。そのとき、彼女の生声の迫力に圧倒されまして、今夜を楽しみにしてきたのでした。

◆渋谷毅(p)プラス松倉如子(vo)@高円寺グッドマン 8/6

今日は、開演に間に合った。結果的に、渋谷さんのソロ2~3曲ずつで前後を包み、具は、松倉さんの作品をデュオで聴かせて頂いた。

松倉さん。やっぱりスゴイな。力いっぱい生きるって、やっぱりいいなと、こっちまで、元気になってくる。そういう歌い手さんですね。でも、同時に、歌わずにおれないが故の、身を削るような歌にも思え、凄みを感じもした。そこを、渋谷さんの伴奏は、不思議に中和して、私達は、やさしさに包まれることになったのだ。それは、まるで、青春の痛み、生の苦みを抱える若者の肩を、人生の先輩が、そっと抱いているような感じでもあった。

やさしさに、包まれた。

渋谷さんのピアノ。私は、高田渡さんと共演されたときのライブは見られなかったのだけれど、今日のようなスタイルで伴奏されたのかなあ。聴きたかったなあ。今夜は、ほとんど初見のような感じで楽譜を見て、手探りで、弾かれていたけれど、味わい深かった。

客席で、先日知り合った女性(渋谷さんのファン)に話したのだが、渋谷さんが一番かっこよく見えたライブは、浅川マキさんの伴奏をしているときだった。それを、そのまま、渋谷さんに話したことがあって、そしたら「え~!?いつもかっこいいでしょう?」と笑って返されたが、「いやあ。そうですけど、でも、マキさんとやってるとき、特別カッコイイんです」と、私も譲らず。馬鹿な会話をしてしまったものだけど、本心だ。あの、カッコイイ渋谷さんがもう見れないのは、本当に寂しい。・・・渋谷さんは、そういうジャンルのボーダーは割と簡単に超えてしまう。でも、その異種格闘相手もまた、マキさんをはじめ、ボーダーレスな音楽家である場合が多い。そもそもボーダーなんて、誰がつくっているのかということでもある。松倉さんみたいな歌手も、ちょっといない。彼女もボーダーレスなのだった。また、渋谷さんをきっかけに、素敵なミュージシャンを知ることが出来て、私はとてもうれしい。

明日、妻子が、実家から戻る。故に、自由且つ無責任な日々は、取り敢えずの幕である。その締めに相応しい、いいライブだった。行ってよかった。

◆月の鳥(渋谷毅(pf)+石渡明廣(g))ゲスト:外山明(ds)@入谷なってるハウス(後半のみ) 8/5

ひさびさのレッスンがありまして・・・。ここ数ヶ月、ちょっと行き詰まっていたんだけど、少し開眼。がんばろうと思いました。終了後、浅草橋から合羽橋へ車を走らせる。

◆月の鳥(渋谷毅(pf)+石渡明廣(g))ゲスト:外山明(ds)@入谷なってるハウス(後半のみ) 8/5

大好きな「オブスキュア・ステップス」で第一部が終了するところに入場。渋谷さんから来月の「しぶやさんといっしょ!@なってるハウス」のチラシ頂く。かわいしのぶさんの絵、今回もかわいい!このチラシ、いつも、私には、多めに下さるのだけど、そのわけは、私が娘と塗り絵をして遊ぶからなのだ。今日、会場には、イラストレーターの足立かおりさんがいらっしゃって、さっそく塗り絵をお手伝いされていたが、ちょっと拝見しただけでもお見事!素晴らしいのだった。

足立さんからは、ご自身がデザインされた今村祐司グループのチラシも頂く。これがまた素晴らしい。ライブの躍動感があって、ご自身、今村グループのファンであるだけに、素敵なチラシなのだった。

ライブ、後半では、月の鳥では初演という石渡さんの「凪」が披露された。美しく、不思議な手触りで、宇宙へ連れ出される。「月の鳥」の世界。

月の鳥は、世界でも最高の音楽のひとつではないかと思ってしまう、なにかがあるのだ。もう本当に素晴らしい。3人とも、それぞれ素晴らしいのだけど、3人で演奏される音楽が、また素晴らしい。

渋谷さん、楽譜が見つからず、やろうとした曲はあきらめたり、いい感じな一方で、恐らく、本日のライブの音作りに関して、終了後、外山さんと熱心に話し合っている(ように見えた)石渡さんの姿に、ちょっと心動かされるところがありました。スゴイ人は、当たり前にスゴイのではないのかもしれないと。突き詰める真剣勝負の果てに、素晴らしいもの見せて頂いているのでしょう。

次はいつ聴かせて頂けるかと、今からわくわくしている。

2010年8月 5日 (木)

◆「We’re the Mother of Meatloaf!」 スーパージャンキーモンキーDVD発売記念LIVE@SHIBUYA CLUB QUATTRO 8/3

忘れられない夜となった。

何が素晴らしかったって、それは、ファンの人たち。あああ。素晴らしいよと、思いながら、眺めていた。

あっという間なんだよね。10年や20年って。だけど、そのあっという間に、なんだかいろんなコトが起きて、新しく人と出会い、そして、別れ、そんなことで続いていく。で、いつか終わる。そういう風に人生は出来ている。

今、この一瞬を燃え尽きんと生きている姿。最高でした。ここに集まった人たち。

あんまりこんな言葉簡単に使いたくないが。やっぱり、「愛」が溢れていたと、思うのだ。幸せだった。

昨年、泥酔してしまい、記憶に残っていない復活ライブ@リキッドルーム。その日の録画をDVD発売してくだって、それがあんまり良かったことが、更に、自分というパズルのピースが欠けてしまっているのを認識させていた。神様が、ならばもう一度と、見せて下さった今日のライブだったのだ。

◆「We’re the Mother of Meatloaf!」
スーパージャンキーモンキーDVD発売記念LIVE
@SHIBUYA CLUB QUATTRO 8/3
(出演順)
■ opening guest:BO-PEEP(見れず)
■ Buffalo Daughter
■ SUPER JUNKY MONKEY

対バンのバッファロー・ドーターがクールで熱い、ものすごくいい演奏をした後だけに、どんな印象のライブになるのだろうと、少し心配した。つくりこまれた新作CDもすごく良かった、まさに現役のバッファロー・ドーターを対バンに据えてのライブってところに、ものすごく潔さを感じていたのだけど、想像以上に、バッファロー・ドーターが素晴らしかったのだ。実に、2010年の音楽だった。よかったっ!!

ところが、そんな心配は、まったく杞憂で、今夜は、「SJMの夜」になった。ギター、ベース、ドラムス&ヴォーカル、混じりっけのないシンプルな編成で、分厚く多彩な音の太い流れが押し寄せてくる。一昨日に聴いたノイズのイヴェントで覚醒された耳の機能が、再び全身に何かを染み渡らせてくれるような体験となった。すごい。しかも、サウンドの骨格は、10年以上前に建ったものなのだ。圧倒的に「新しい」ことに、感動する。

かわいしのぶさん、メチャメチャかわいくて、すごくて、いやあ、カッコよかった。あなたは、あなたという人は、なんてすばらしいのですか!(しのぶさんのホットパンツと美脚は、私のいたところからは望めず、あとで写真を見るのをたのしみに。)Keikoさんのヴォーカルも、むつみさんが降りてきたような大迫力。そして、つつさん!おふたりが音楽から現在離れているのが信じられないくらいの現役バリバリ感だ。

それにしても、なんなのだろう?
彼女たち3人が音を出してからの、この圧倒的な高揚感は?

・・・それは、やはり、愛なのだ。

待った時間。
失った時間。
もう取り返せない時間。
そういう時間に育まれた愛が、彼らの演奏中、会場を覆っていた。
感動的でした。

俺は、小沢健二のひふみよツアーで、歌い、(ドアノックダンスなど)振りつきで踊った。それは、そういう諸々をひっくるめ、待っていた13年間だったから。そして、同時に、11年前に亡くなってしまった青木達之の不在が、歳月の流れを強く感じさせた。むつみさんが亡くなったのが99年。青木達之も、同じ年に亡くなったのだった。我々には、同じように、そこからの11年が過ぎたのだ。

大切な人の死は、絶望的なことだけれど、新たな人間の絆を紡ぐこともある。その方向に作用したときは、堅く堅く働くのだ。・・・このことを思うと、俺たちは、これから、もしかしたら自分が死ぬよりつらいような、大切な人の死に、何度も向かい合う羽目になるのかもしれないのだが、そうだったとしても、時間が、失ったという事実が、何かを産んでくれるのだと、そうすることで、その大切な人は、今この世にいなくとも、「生きている」ことを実感できるのだと。そう、俺たちは、知っている。今年、「ひふみよ」とSJMの今日のライブ、この二本のライブは、それを教えるものだったから。むつみさんは、今日も、ここに「いた」のであるから。ひふみよに青木が「いた」ように。

昨年のSJMの復活ライブは、まさに、そのように、不在と休止と、あり得ないような復活と、そして、不在であるが故に、圧倒的に「在」であるという状況が作り出され、そのこと、誰もが分かち合っているから、どんなに暴れても、じつは「あたたかい」夜になっていたのだと、想像する。今夜も、また、そうだった。一度きりと思われた昨年の復活ライブ。今年も、フジロックに続き、もう一日だけ、この祭りが、開催されたのだ。それは、ある意味、10年ぶりの復活以上に、奇跡的なことだったようにも思える。

だから、昨年は、自分も前の方で暴れたのだけど、今年、往年のファンの人たちの弾け方、凄まじいまでの暴れっぷりを見て、ああ、今夜は何より、まずはこの人たちの為の夜だと、そう感じ、私は、やや後ろに下がって、それでも熱くなりながら、音楽と会場の熱気とを堪能した。

ちなみに、僕は、往年のSJMのファンではない。新しいファンなのだ。むつみさん在籍時のライブを見ることはかなわなかった。2年ほど前、渋谷毅さんの「しぶやさんといっしょ!」でベースを弾き歌うかわいしのぶさんのファンになり、そこからたどって聴いていくようになった。しのぶさんのおかげで、大好きになった方々が、僕には何人もいる。長見順さん、グレイスさん、水谷紹さん、そして、柴草玲さんだ!人間のなにかを紡ぎ、結んでいく力が、しのぶさんにはあるのだろう。「柴草玲のイヌラジ」を我が社が提供させて頂くようになったのも、昨年の3月3日「マドモアゼル玲とシノブプレ」公演をきっかけに、しのぶさんに頂いたご縁なのだ。本当に、ありがたく思っている。

しのぶさん。これからもよろしくお願いいたします。

2010年8月 2日 (月)

◆japanoise.net presents "青山ノイズ Vol.1"@表参道EATS and MEETS Cay 8/1

卒業した大学の研究室OBのメーリングリストで、十数年先輩の方が、音楽イベントをやると知った。経済学の「お勉強ゼミ」として有名な研究室で、先生は、本当に立派なかたで、今も多くの人々から深く尊敬されている。私も勿論、心から尊敬、心酔している先生だ。歴代の首相のブレーンをつとめられた偉大な先生だが、私が尊敬しているのは何より教育者として。このブログは、音楽関連のお気楽な内容で埋めるつもりなので、詳細は書かないが、いざ書き出せば、語りたいことは山のようにある。加藤寛先生は、そんな素晴らしい先生なのだ。教え子、つまり、この研究室の卒業生にも、実業界で錚々たる顔ぶれが並んでおり、私のような劣等生は別として、たまにOB会のような集まりがあって参加すると、それぞれの高邁な理念と幅広い見識に、驚かされる。

さて、そういうお堅いゼミのOBだから、一体どんな音楽イベントやらと、実は、あまり期待せずに、紹介文を読んでみたのだが・・・。

わわわ。なんと、私、この先輩のライブ、高校生のときに、見てました!レコードも愛聴していた。徳間ジャパンの水族館レーベルから84年に発売になった『陽気な若き博物館員たち』。このオムニバス・アルバムのCHILDRENというユニットの一人だったのです。実際、CHILDRENは大好きだった。アルバムには2曲しか入っていなかったが、萩尾茂都の少女漫画から抜け出したような美声の美少年たちが、ややチープなテクノ・サウンドに載せて、叙情的なメロディを奏でていた。プロデュースは、鈴木慶一さん。十代の頃のぼくは、寝ても覚めてもムーンライダーズ。大好きでした。CHILDRENも『青空百景』『マニアマニエラ』の頃の鈴木慶一さん達の気分にすごく合致していたと思う。ライブは、84年11月の『博物館コンサート』@渋谷ライブインで、彼らの演奏を耳にしている。楽しいライブだった。それぞれのバンドのライブのあと、出演者全員で、ボッカチオ'84と題してのカバー大会、アコーディオン二十名強を中心とする演奏で、レッド・ツェッペリンの「ブラック・ドッグ」CSN&Yの「オハイオ」ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」トッド・ラングレンの「ハロー・イッツ・ミー」、そして、フランク・ザッパの「コール・エニー・ベジタブル」。アンコールもザッパの「いたち式電気かみそり」だった。時代の空気、感じて頂けるかどうか。

ちなみに、当時、一番多くの時間をともに過ごした友人、青木達之は、高橋幸宏さんの大ファンだった。私は、鈴木慶一さんのコアなファン。そう。ザ・ビートニクス。慶一さんのことを思うと、スカパラの青木につながっていく。私の青春時代だ。

ちなみに、前の日記に、唐突に載せたベストテン。二十年以上も続けていて、いい加減、子供みたいなのだが、やめるのも惜しくて、今も大晦日には選んでいる。このベストテンも、高校時代、青木に、年賀状に書いて送ったのが始まりなのだ。

そんなようなわけで、濃密な記憶は、25年のときを経てよみがえり、あわててその先輩にメールして、この音楽イベントにも出かけることにしたのだ。

先輩の名前は、伊藤まくさん。私にとっては、元CHILDRENの伊藤さんだが、今や、日本ノイズ・ミュージック界の重鎮である。

かくして、ノイズ・ミュージックの生演奏初体験となったのだった。

◆japanoise.net presents "青山ノイズ Vol.1"@表参道EATS and MEETS Cay 8/1

(出演順)
(1)【エドウィン・ファン・デル・ハイデ+古舘徹夫】ハイデはオランダ在住のエレクトロニクス・ ミュージシャンで、数多くのサウンド・インスタレーション作品を各国で発表。アルス・エレクトロニカ(リンツ)やトランス・メディアーレ(ベルリン)など数多くのフェスティバルで受賞。古舘は、ノイズ・コンサートの他、シアター、ラジオ作品を手がける。ドレスデン現代音楽祭受賞。インターナショナル・ラジオ・アート・フェスティバル入賞。

(2)【ジャパノイズオーケストラ】東京ノイズ・即興シーンの精鋭を集めて結成される。クラブVusenos、座高円寺(ホール)等で、大規模なコンサートを開催してきた。メンバーは、りょう、Miu-The storyteller-、直江実樹、ホンダリョウ、小川京子、安藤裕子、フレキュー、アレクセイカラマゾフ、ナスコ、Yukipedia、ノブナガケン、伊藤大樹、mogra、武智圭佑(tsuchigumo)、ゆき、山田花乃。指揮:伊藤まく

(3)【水谷聖】日本ノイズの頂点・メルツバウを、秋田昌美と結成。ソロ活動開始後は、フィードバックを多用した実験的なサウンドライブと、フィールド録音を駆使した作品を多数発表している。

(4)<トーク&ライブ>大友良英×美川俊治(インキャパシタンツ)×伊藤まく(ジャパノイズレコーズex.NORD)
【大友良英】ギタリスト/ターンテーブル奏者/作曲家として、数々のバンド活動を行なう。即興、ノイズ、現代音楽を越境して活動し、海外での評価も高い。映画音楽作品も提供する他、インスタレーションアート分野でも作品を発表している。
【美川俊治】INCAPACITANTSのリーダー、「非常階段」のメンバー。ハーシュノイズの代表格として、ステージでは激しいアクションを展開。ソロやコラボ活動も積極的に行なっている。
【伊藤まく】ノイズシーンの先駆者・NORD(ノール)を経て、鈴木慶一プロデュースの水族館レーベルでCDデビュー(徳間ジャパン)。ジャパノイズオーケストラ主宰、灰野敬二とのデュオ・沙無座、向井千恵とのデュオ等、多面的な活動を展開している。

私の先輩、伊藤さんの主催イベントで、「日本のノイズ音楽をトークと生演奏を通じて把え直す試み」とのこと。ちゃんと音源を聴いたことがあるのは、大友さんだけなのだけど、名前はどこかで見たことがある人が結構いて、たぶん、そう私のいつもいるところと遠くないところにいらっしゃる方々とは思って、入場した。

オープニング・アクトのハイデ+古館が、まず、無機質なノイズと自然からサンプリングされたセミの泣き声や雷雨の音との融合が極めて美しく、身体でビートを作り出しながら楽しく聴かせて頂いた。そういう聴き方が「ありうる」音楽だったと思う。おお。これがノイズか。予想どおりうるさいし、とっつきにくいけど、やっぱり楽しいなと。じわじわ引き込まれた。

続いて、お待ちかね、伊藤さん指揮によるジャパノイズ・オーケストラ。大勢のメンバーでどうなることかと身構えたが、意外に、一般的な枠組で言うところの「音楽」的な演奏だったのに、驚いた。勿論、そうであるが故の心地よさ溢れる。生の、即興の、ということがあるが、既視感のある音像、しかし、聴くのははじめてで、しかも、今回一度きりだろう。こう書いて演奏者に喜んで頂けるかどうかはわからないが、ファンク或いはアフロ的な陶酔の感覚が溢れた。延々終わらないで欲しいという、あの感じだ。肉感的というのでないが、身体に確実に来る熱い演奏だった。クールだが、熱く感じられ、大変面白かった。いい演奏だった。夢に見そうだ。好きだ!

こういう、いい演奏、いい音楽を聴くと、フランク・ザッパのあの言葉を思い出す。

information is not knowledge.
konwledge is not wisdom.
wisdom is not truth.
truth is not beauty.
beauty is not love.
love is not music.
music is THE BEST.

情報は知識に及ばず
知識は知恵に及ばない
知恵は真実に及ばず
真実は美に及ばない
美は愛に及ばず
愛は音楽に及ばない
音楽こそが最高のもの

続く、水谷さんは、箱庭的な自由の世界。ジャパノイズ・オーケストラとは逆に、音楽に至る前の根源的な響き。私は、渋谷毅さんやUAなどとの共演で高名な外山明さんのドラムスが大好きなのだけど、彼を思い起こして、その偉大を噛み締めた。彼の登場で、一口に、ノイズ・ミュージックと言っても様々だということがよくわかった。

そして、メイン・イベントとなる「大友・美川・伊藤」対談のトーク・ショー。何より面白いのは、こういう気の狂ったような音楽をやってらっしゃる方々が、普通に紳士(?)だってことではなかろうか?・・・ノイズやってるような人って、正直、怖い。僕はずっとそんな印象を持っていた。もっとも、ジャズ・ミュージシャンに対して感じていた恐怖感が薄らいできたのも最近のことなんですが。人間、理解出来ないことは怖いのだ。でも、わかれば、怖くなくなるんですわ。

なんとも楽しい、和みのトークの終了後、三人による演奏。

会場の空気一変。今夜の白眉。他を圧倒。忘れられない。

圧巻の、

物凄い演奏でした。

音の塊が土石流のように押し寄せるとき、私は、リズム(ビート)に逃げたり、或いは、曲の構成に逃げることで、よけかた、耳の休ませ方を心得ているのだが、それがいずれもゆるされない。

この演奏に対しては、最初のハイデ+古館のときのようにリズムを見つけ出して聴くような余裕など一切なかった。身の危険を感じるような、ありえない体験。口あんぐり。鼓膜は勿論、全身金縛り。震え、汗が流れた。一種の恐怖すら味わった。逃げ場のない恐怖。

これぞ、ノイズ!

私は、遠藤賢司さんの大ファンなのだけど、エンケンさんは、ライブでギターをエレキに持ち替えれば、ものすごいフィードバック・ノイズの嵐を巻き起こす。スゴイと思うけど、こちらが体力ないときには、きつい。大音響。感動するけど、しんどい。しんどいけど、感動するんだ。

そういうものとして、私は、ノイズを受け止めているけど、どうでしょう、20分くらい続いたのかな、今日のこの3人の演奏は。超特大音量の奔流。疾風怒濤。

鼓膜は完全にしびれ切った。
身体に悪いこと、この上ない。
呆れ果てました。
死ぬかと思った。
苦痛で。

でも、恐ろしいことに、この音の洪水に、何か、全身の血が入れ替えられたような。今もまだ震えを記憶するのだけど。なにかを「体験」してしまったのだ。はじめての体験。そういう感じが、もう理屈を超えて、自分のなかに確実にあるのです。

演奏が終わって、静寂のありがたさ。静寂の美しさ。

もし、この演奏のあとに、渋谷毅さんが出てきてソロピアノ一曲弾いてくれたなら、涙が溢れたんじゃないか?いや、そういう美しい音を求める心が、呼び起こされる(叩き起こされる?)ような経験だった。

しかし、終わって、暫くして、耳がやっと麻痺から回復してくると、もう一度聴きたいと思っている自分がいることに驚く。

・・・これか。ノイズ。恐れ入りました。

さあ、今後、私は、この世界にはまっていくことがありうるでしょうか?

でも、伊藤さんの主催する「青山ノイズ」。vol.2は、12月26日。『港』というアルバムが大好きな湯浅湾が出演するそうで、これは縁としか言いようがない。

私は、湯浅学さんの文章、永年のファンだし、湯浅さんが渋谷毅さんにインタビューした『大友良英 produces さがゆき sings :see you in a dream』のブックレット。渋谷さんの音楽の聴き方、随分影響も受けた。感謝してる。名盤解放同盟の発掘曲にもどれだけお世話になったことか。

湯浅学さんが、『はっぴいえんど かばぁぼっくす』の最後に渋谷さんの弾く「それは僕じゃないよ」を評した紹介文は、最高の(読んで気持ちがいいという意味で。また、共感という意味で。)渋谷さん評だったと、私は今でも思ってる。

そんな諸々の果てに、伊藤さんの導きで、ライブが見れるなら、これは行くしかないじゃないか。・・・とも思っているのです。そんなわけで。

伊藤さん。ありがとうございました。これからのご活躍、心から期待申し上げます。

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