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2010年8月 2日 (月)

◆japanoise.net presents "青山ノイズ Vol.1"@表参道EATS and MEETS Cay 8/1

卒業した大学の研究室OBのメーリングリストで、十数年先輩の方が、音楽イベントをやると知った。経済学の「お勉強ゼミ」として有名な研究室で、先生は、本当に立派なかたで、今も多くの人々から深く尊敬されている。私も勿論、心から尊敬、心酔している先生だ。歴代の首相のブレーンをつとめられた偉大な先生だが、私が尊敬しているのは何より教育者として。このブログは、音楽関連のお気楽な内容で埋めるつもりなので、詳細は書かないが、いざ書き出せば、語りたいことは山のようにある。加藤寛先生は、そんな素晴らしい先生なのだ。教え子、つまり、この研究室の卒業生にも、実業界で錚々たる顔ぶれが並んでおり、私のような劣等生は別として、たまにOB会のような集まりがあって参加すると、それぞれの高邁な理念と幅広い見識に、驚かされる。

さて、そういうお堅いゼミのOBだから、一体どんな音楽イベントやらと、実は、あまり期待せずに、紹介文を読んでみたのだが・・・。

わわわ。なんと、私、この先輩のライブ、高校生のときに、見てました!レコードも愛聴していた。徳間ジャパンの水族館レーベルから84年に発売になった『陽気な若き博物館員たち』。このオムニバス・アルバムのCHILDRENというユニットの一人だったのです。実際、CHILDRENは大好きだった。アルバムには2曲しか入っていなかったが、萩尾茂都の少女漫画から抜け出したような美声の美少年たちが、ややチープなテクノ・サウンドに載せて、叙情的なメロディを奏でていた。プロデュースは、鈴木慶一さん。十代の頃のぼくは、寝ても覚めてもムーンライダーズ。大好きでした。CHILDRENも『青空百景』『マニアマニエラ』の頃の鈴木慶一さん達の気分にすごく合致していたと思う。ライブは、84年11月の『博物館コンサート』@渋谷ライブインで、彼らの演奏を耳にしている。楽しいライブだった。それぞれのバンドのライブのあと、出演者全員で、ボッカチオ'84と題してのカバー大会、アコーディオン二十名強を中心とする演奏で、レッド・ツェッペリンの「ブラック・ドッグ」CSN&Yの「オハイオ」ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」トッド・ラングレンの「ハロー・イッツ・ミー」、そして、フランク・ザッパの「コール・エニー・ベジタブル」。アンコールもザッパの「いたち式電気かみそり」だった。時代の空気、感じて頂けるかどうか。

ちなみに、当時、一番多くの時間をともに過ごした友人、青木達之は、高橋幸宏さんの大ファンだった。私は、鈴木慶一さんのコアなファン。そう。ザ・ビートニクス。慶一さんのことを思うと、スカパラの青木につながっていく。私の青春時代だ。

ちなみに、前の日記に、唐突に載せたベストテン。二十年以上も続けていて、いい加減、子供みたいなのだが、やめるのも惜しくて、今も大晦日には選んでいる。このベストテンも、高校時代、青木に、年賀状に書いて送ったのが始まりなのだ。

そんなようなわけで、濃密な記憶は、25年のときを経てよみがえり、あわててその先輩にメールして、この音楽イベントにも出かけることにしたのだ。

先輩の名前は、伊藤まくさん。私にとっては、元CHILDRENの伊藤さんだが、今や、日本ノイズ・ミュージック界の重鎮である。

かくして、ノイズ・ミュージックの生演奏初体験となったのだった。

◆japanoise.net presents "青山ノイズ Vol.1"@表参道EATS and MEETS Cay 8/1

(出演順)
(1)【エドウィン・ファン・デル・ハイデ+古舘徹夫】ハイデはオランダ在住のエレクトロニクス・ ミュージシャンで、数多くのサウンド・インスタレーション作品を各国で発表。アルス・エレクトロニカ(リンツ)やトランス・メディアーレ(ベルリン)など数多くのフェスティバルで受賞。古舘は、ノイズ・コンサートの他、シアター、ラジオ作品を手がける。ドレスデン現代音楽祭受賞。インターナショナル・ラジオ・アート・フェスティバル入賞。

(2)【ジャパノイズオーケストラ】東京ノイズ・即興シーンの精鋭を集めて結成される。クラブVusenos、座高円寺(ホール)等で、大規模なコンサートを開催してきた。メンバーは、りょう、Miu-The storyteller-、直江実樹、ホンダリョウ、小川京子、安藤裕子、フレキュー、アレクセイカラマゾフ、ナスコ、Yukipedia、ノブナガケン、伊藤大樹、mogra、武智圭佑(tsuchigumo)、ゆき、山田花乃。指揮:伊藤まく

(3)【水谷聖】日本ノイズの頂点・メルツバウを、秋田昌美と結成。ソロ活動開始後は、フィードバックを多用した実験的なサウンドライブと、フィールド録音を駆使した作品を多数発表している。

(4)<トーク&ライブ>大友良英×美川俊治(インキャパシタンツ)×伊藤まく(ジャパノイズレコーズex.NORD)
【大友良英】ギタリスト/ターンテーブル奏者/作曲家として、数々のバンド活動を行なう。即興、ノイズ、現代音楽を越境して活動し、海外での評価も高い。映画音楽作品も提供する他、インスタレーションアート分野でも作品を発表している。
【美川俊治】INCAPACITANTSのリーダー、「非常階段」のメンバー。ハーシュノイズの代表格として、ステージでは激しいアクションを展開。ソロやコラボ活動も積極的に行なっている。
【伊藤まく】ノイズシーンの先駆者・NORD(ノール)を経て、鈴木慶一プロデュースの水族館レーベルでCDデビュー(徳間ジャパン)。ジャパノイズオーケストラ主宰、灰野敬二とのデュオ・沙無座、向井千恵とのデュオ等、多面的な活動を展開している。

私の先輩、伊藤さんの主催イベントで、「日本のノイズ音楽をトークと生演奏を通じて把え直す試み」とのこと。ちゃんと音源を聴いたことがあるのは、大友さんだけなのだけど、名前はどこかで見たことがある人が結構いて、たぶん、そう私のいつもいるところと遠くないところにいらっしゃる方々とは思って、入場した。

オープニング・アクトのハイデ+古館が、まず、無機質なノイズと自然からサンプリングされたセミの泣き声や雷雨の音との融合が極めて美しく、身体でビートを作り出しながら楽しく聴かせて頂いた。そういう聴き方が「ありうる」音楽だったと思う。おお。これがノイズか。予想どおりうるさいし、とっつきにくいけど、やっぱり楽しいなと。じわじわ引き込まれた。

続いて、お待ちかね、伊藤さん指揮によるジャパノイズ・オーケストラ。大勢のメンバーでどうなることかと身構えたが、意外に、一般的な枠組で言うところの「音楽」的な演奏だったのに、驚いた。勿論、そうであるが故の心地よさ溢れる。生の、即興の、ということがあるが、既視感のある音像、しかし、聴くのははじめてで、しかも、今回一度きりだろう。こう書いて演奏者に喜んで頂けるかどうかはわからないが、ファンク或いはアフロ的な陶酔の感覚が溢れた。延々終わらないで欲しいという、あの感じだ。肉感的というのでないが、身体に確実に来る熱い演奏だった。クールだが、熱く感じられ、大変面白かった。いい演奏だった。夢に見そうだ。好きだ!

こういう、いい演奏、いい音楽を聴くと、フランク・ザッパのあの言葉を思い出す。

information is not knowledge.
konwledge is not wisdom.
wisdom is not truth.
truth is not beauty.
beauty is not love.
love is not music.
music is THE BEST.

情報は知識に及ばず
知識は知恵に及ばない
知恵は真実に及ばず
真実は美に及ばない
美は愛に及ばず
愛は音楽に及ばない
音楽こそが最高のもの

続く、水谷さんは、箱庭的な自由の世界。ジャパノイズ・オーケストラとは逆に、音楽に至る前の根源的な響き。私は、渋谷毅さんやUAなどとの共演で高名な外山明さんのドラムスが大好きなのだけど、彼を思い起こして、その偉大を噛み締めた。彼の登場で、一口に、ノイズ・ミュージックと言っても様々だということがよくわかった。

そして、メイン・イベントとなる「大友・美川・伊藤」対談のトーク・ショー。何より面白いのは、こういう気の狂ったような音楽をやってらっしゃる方々が、普通に紳士(?)だってことではなかろうか?・・・ノイズやってるような人って、正直、怖い。僕はずっとそんな印象を持っていた。もっとも、ジャズ・ミュージシャンに対して感じていた恐怖感が薄らいできたのも最近のことなんですが。人間、理解出来ないことは怖いのだ。でも、わかれば、怖くなくなるんですわ。

なんとも楽しい、和みのトークの終了後、三人による演奏。

会場の空気一変。今夜の白眉。他を圧倒。忘れられない。

圧巻の、

物凄い演奏でした。

音の塊が土石流のように押し寄せるとき、私は、リズム(ビート)に逃げたり、或いは、曲の構成に逃げることで、よけかた、耳の休ませ方を心得ているのだが、それがいずれもゆるされない。

この演奏に対しては、最初のハイデ+古館のときのようにリズムを見つけ出して聴くような余裕など一切なかった。身の危険を感じるような、ありえない体験。口あんぐり。鼓膜は勿論、全身金縛り。震え、汗が流れた。一種の恐怖すら味わった。逃げ場のない恐怖。

これぞ、ノイズ!

私は、遠藤賢司さんの大ファンなのだけど、エンケンさんは、ライブでギターをエレキに持ち替えれば、ものすごいフィードバック・ノイズの嵐を巻き起こす。スゴイと思うけど、こちらが体力ないときには、きつい。大音響。感動するけど、しんどい。しんどいけど、感動するんだ。

そういうものとして、私は、ノイズを受け止めているけど、どうでしょう、20分くらい続いたのかな、今日のこの3人の演奏は。超特大音量の奔流。疾風怒濤。

鼓膜は完全にしびれ切った。
身体に悪いこと、この上ない。
呆れ果てました。
死ぬかと思った。
苦痛で。

でも、恐ろしいことに、この音の洪水に、何か、全身の血が入れ替えられたような。今もまだ震えを記憶するのだけど。なにかを「体験」してしまったのだ。はじめての体験。そういう感じが、もう理屈を超えて、自分のなかに確実にあるのです。

演奏が終わって、静寂のありがたさ。静寂の美しさ。

もし、この演奏のあとに、渋谷毅さんが出てきてソロピアノ一曲弾いてくれたなら、涙が溢れたんじゃないか?いや、そういう美しい音を求める心が、呼び起こされる(叩き起こされる?)ような経験だった。

しかし、終わって、暫くして、耳がやっと麻痺から回復してくると、もう一度聴きたいと思っている自分がいることに驚く。

・・・これか。ノイズ。恐れ入りました。

さあ、今後、私は、この世界にはまっていくことがありうるでしょうか?

でも、伊藤さんの主催する「青山ノイズ」。vol.2は、12月26日。『港』というアルバムが大好きな湯浅湾が出演するそうで、これは縁としか言いようがない。

私は、湯浅学さんの文章、永年のファンだし、湯浅さんが渋谷毅さんにインタビューした『大友良英 produces さがゆき sings :see you in a dream』のブックレット。渋谷さんの音楽の聴き方、随分影響も受けた。感謝してる。名盤解放同盟の発掘曲にもどれだけお世話になったことか。

湯浅学さんが、『はっぴいえんど かばぁぼっくす』の最後に渋谷さんの弾く「それは僕じゃないよ」を評した紹介文は、最高の(読んで気持ちがいいという意味で。また、共感という意味で。)渋谷さん評だったと、私は今でも思ってる。

そんな諸々の果てに、伊藤さんの導きで、ライブが見れるなら、これは行くしかないじゃないか。・・・とも思っているのです。そんなわけで。

伊藤さん。ありがとうございました。これからのご活躍、心から期待申し上げます。

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