◆清水くるみ(p)+伊東里栄子(b)「ロシュフォールの恋人たち同好会」@アケタの店・夜中 10/23
土曜日。夜中のアケタの店。毎月、渋谷毅さんのソロに出かけているのだけど、不摂生やらストレスやらで、体調管理が決して上手でない私は、この夜中のライブで、また生活のリズムが狂ってしまう。それでも、尚、どうしても聴きたいから、毎月、渋谷さんは欠かしていない。今月も行きます。で、他の日(毎土曜日の夜中)も聴きに行きたい演奏がたくさんあるのだけど、なかなか、根性が入らないのが現状なのです。
そんな中、真夜中の清水くるみさん。久しぶりに聴きに行ったのは、どうしても聴きたい演目だったからでもあるのです。「ロシュフォールの恋人たち」同好会。年に一度のペースとなっているので、この日を逃すと、当分聴くことが出来ない演奏となります。
「ロシュフォールの恋人たち」は、ジャック・ドゥミの名作ミュージカル映画ですが、なんと言ってもミシェル・ルグランの絢爛豪華でおしゃれな美しいきら星のような輝きの名曲名曲名曲群が、本当に素晴らしいですよね。私も大好きな映画です。
と言っても、私は、実は、清水くるみさんに、この映画のことを教えて頂いて、昨年初めて見たのでした。それも、映画館で。その顛末、というか、感想を、当時、私がやっていたミクシイ(退会しました)の日記から引用します。
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「ロシュフォールの恋人たち」 2009年02月22日03:55
妻と娘が実家に帰ってしまいました。単なる帰省ですが、これから2週間、えりちゃん中心世界から解放されますが、寂しいものですね。二人を羽田に送ってから、一人、銀座で映画を見てきました。
私がちゃんと映画好きと自称出来たのは大学卒業までで、その後は、数えるくらいしか映画館にも行ってないので、そういう男の感想だって、割り引いて読んでほしいんですが、・・・、よかったぁ。素晴らしかったです。めちゃめちゃ楽しかった。これこそ映画ってもんだよね、って思ってしまう、すっごく楽しい一時でした。劇中何度も何度も拍手贈りたくなってしまった。
僕がこの一年お世話になってる音楽家の皆さんのライブがありますよね。まさに、その感じでした。お酒飲んでいたわけじゃないけど、すごく、心地よく酔った。ずっと笑顔で見てた。とにかくぐっと来ました。とろけた。楽しかった!!
ミュージカルって、音楽次第と思っていますが、そういう意味では、ミシェル・ルグランの音楽が、なんてったって、素晴らしい。歌が主役の映画だもの。でもそれだけじゃない。ドヌーブはじめ出演してる誰もがいとおしくなった。ダンスがまた良くて、アメリカからジーン・ケリーお迎えしてのところも、敬意に溢れてる感じで。
フレンチ・ミュージカル映画の代表的な傑作なんでしょうが、僕は名前も知らなかった。(あ。シェルブールの雨傘は、子供の頃見ましたよ。明日、母と見てきます!同じ、ジャック・ドゥミ作品)
実は、敬愛する音楽家の方から、この作品のことを伺って、どうしても見たくなってしまったの。67年作品。俺の生まれた翌年だ。今回はデジタルリマスターされて色彩美しく蘇ってのリバイバルとのこと。
最高にかわいい映画。人生はいいもんだって思うなあ。
私の生涯でも好きな映画って言えるところに、堂々のランクインです。大好き!
くるみさん。教えて下さって、本当にありがとうございました!!!
楽しい映画です。まっすぐ素晴らしい。映画というのは、こういう、大人が本気になってつくるおとぎ話であっていいと思う。
この楽しさ、生きる歓び、のようなものは、ライブの楽しさと同じ。
底抜けに明るい夢の世界。だからこそ、我々の難しい人生の中で、見つけてしまった美しい花のようなもの。嬉しく楽しく美しく、しかるに、はかない。名作であります。
近年見た映画の中でも最高の体験でした。ライブ感がすごかった。こっちも踊り出しそうだった。
映画館で2時間付き合うんだもの、幸せな気分になりたい。最高の音楽とともに!そういう期待に答える映画です。
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・・・というような感想を書いてて、熱狂のほどがわかります。
確か、くるみさんは、少女時代に、この映画に巡り合ったことが、音楽家を志すきっかけともなったと、ちらっと伺った覚えもある。そして、それは十分理解出来る、素晴らしい映画なのです。
そんなわけで、私も同好の士となりまして、この愛すべき名曲群をまとめて聴かせて頂けるなんて。しかも、清水くるみさんのピアノで!
「親子ほど歳の離れた」とはくるみさんのMCでしたが、同好会は、くるみさんのピアノと伊東里栄子さんとのデュオ。くるみさん、久しぶりに、じっくり演奏を聴かせて頂きましたが、情熱的で繊細で、やっぱり、本当に素晴らしかったです。笑顔の素敵な新婚の伊東さんは、すごく誠実な演奏という感じがいたしました。
原曲への敬意を込めて、大胆にその曲が、今に生きる音楽として「あるべき姿」への展開を試みられている印象です。そうして演奏される、大好きな「水夫、友達、恋人、または夫」「町から町へ」「双子姉妹の歌」「シモンの歌」「マクサンスの歌」。原曲は、楽しく、せつなく、かわいらしい曲ばかり。それが、鋭さを持ち合わせた重層の美しさへと昇華されていくような演奏。至福の体験でした。
ルグランは、実は、大体「枯葉」(5度進行)であったりしますが、今日、お茶目に、イントロで「枯葉」を奏でられた曲もあり、お茶目さに、ちょっとくすぐられました。
◆清水くるみ(p)+伊東里栄子(b)「ロシュフォールの恋人たち同好会」@アケタの店・夜中 10/23
開演前、ミルトン・ナシメントの「トラベシア」も演奏する予定とおっしゃっていて、楽しみにしていたのですが、それはなくなりました。しかし、十分満腹でした。
そう言えば、「ロシュフォールの恋人たち」。サントラは、昨年、『完全版』(2枚組)が出て、その内容を小西康陽が「薦めかねる」と批判していたので、改めて、以前の1枚もののサントラを購入。私は、映画が今にも始まって、どんどんつながっていくような『完全版』が、最初に聴いたこともあり、やっぱり好きだけれど、「サントラ」ってものが、またひとつの作品なのだと考えると、確かに、収録順も異なり、曲も厳選された1枚ものも、なんとも愛らしい。そんな感想を持ちました。
どんなに美しい作品(完成された映画とその音楽)がそこにあっても、その先、その作品に敬意を表して向かい合うならば、単になぞるような演奏をするわけにはいかない。小西氏のサントラへの思いも同じようなことかもしれないと、思った次第。
このデュオでの演奏は、徐々に「ロシュフォール」からの曲を増やしていく予定とのことで、確かに、他にも名曲多数。何年越しか、是非、全曲演奏されるまで通いたいと思っております。
「ロシュフォール」以外の曲では、満月ということで演奏された「ブルー・ムーン」が、素晴らしく美しくて、涙でした。くるみさんの演奏、次回がまた楽しみであります。