◆柴草玲/遠峰あこ@横浜FRIDAY 11/24
さて、最近は、平日夜のライブに抜け出す気力が乏しい中ではあるのですが、今夜は、柴草玲さんの永年のファンの女性と、貴重なるブツの交換がありまして、いえ、それだけじゃなく、出来れば聴きたいと思っていたからなんですが、横浜まで出かけることにいたしました。東京に入る混雑と東京を出る混雑とがダブルでかかってくるので、横浜のライブに夕刻栃木から出かけるのは、かなりの渋滞を覚悟しなければなりません。幸い、新宿で少々所用がありましたので、それを片付けて、それから横浜に向かいました。そういうやり方でもしないと、平日の横浜は、なかなか難しいですね。
だんだん夜の冷え込みが厳しくなってくるこの時期は、外出もおっくうでありましょう。今夜のフライデイは、少々寂しい入りでした。でも、演奏は、ホット。ほっと。
何度か書いていますが、遅れてきたファンの私は、柴草玲さんとの出会いは、昨年の3月3日。かわいしのぶさん目当てで出かけた「マドモアゼル玲とシノブプレ」のライブ@荻窪ルースター・ノースサイド(対バン:夢と書いてホシノと読む)だったのですが、そのとき、会場は満席。この女子高生コスプレ・デュオには、よくお客さんが入ることを「皆さん、一体、何を期待してらっしゃるのですか?」などと笑いつつ、イベントなどに出ると、お客さん、すっごく少ないときがあって、そういうときには、来てくれた数少ないお客様におしぼりを出して接待したくなりますね、などと話していたMCがいまだ忘れられず。それを、今夜、思い出した次第。おしぼりは出ませんでしたが、「心のおしぼり」熱いのをありがたく頂きましたよ。
でもね、集客よりも、まずは、やりたいことをやることでしょう。自由の代償は、たくさんある。そんでも、大切なのは、「自由」だったりもしますね。
前回挨拶できなかったので、玲さんとお話するのは久しぶりとなりましたが、笑顔が素敵でした。制作の完了と長いツアー(鈴木亜紀さんとのナカユビ・ツアーと、メルシーツアー前半後半)が全部終了したことで、肩の荷を下ろされてのことでしょうか。おめでとうございます。今日刷り上がって届いたばかりという新譜「さげまんのタンゴ」のフライヤーをゲット。とてもうれしい。
◆柴草玲/遠峰あこ@横浜FRIDAY 11/24
遠峰あこ(vo,acc,per)
柴草玲(vo,ep,acc)
まずは、遠峰あこさんのセットから。アコーディオン民謡!遠峰あこさんの唄を聴かせて頂くのも、毎回この共演@フライデイですが、3回目となりました。知ってる曲が増えていく。「野毛でハイボール」で、声が裏返るところは夢に出そう。快感。前回、すごく共感した「すっぽんぽん節」聴けて嬉しい。裸でなにが悪い!ちょっと前の総務大臣鳩山邦夫に投げつけてやりたい、歌詞ですわ。毎回聴かせて頂いている「やあさかりんりん」今日も素敵で。たしか、お祖母さんの詩に唄をつけたとおっしゃっていたと思うんだけど、あこさんの裏返る声がとても美しい。たゆたう感じ。しあわせです。なんじゃわれコールは、私は、口パクで。それから、「自画像」というシンガーソングライター的な曲が、とても儚い美しさをたたえていた。あこさんの別の側面を見せて頂いたような、せつない気持ちになりました。あのフライデイのステージの端に、和装でアコーディオンを抱えてすっと立つ姿、俯瞰したときに、とても素敵な、絵になるなあと思いつつ、眺めておりました。今夜も、まったりさせて頂きました。ありがとうございました。
さて、続いて、柴草玲さんのセット。「ざしきわらしのうた」「もみぢ」「雪」「Dear Ellen」「たたみちゃんのテーマ」。今日は、なかなか聴けない曲が多くて、やあ、来てよかったなあと。山村紅葉を知らない私にも「もみぢ」の可笑しさはなんとなく。「こきりこ節」の「ででれこでん」が恥ずかしかった辛酸なめ子の乙女心と同じもの、私もいまだに。故に、玲さんからリクエストされたる「もみぢコール」は、低音でお応え致しました。ディア・エレン。本当に久しぶりに。こういう美しい曲を、あるがままに美しくやってくださる玲さんが好き。エレンが誰かも知らない私でも、この歌はせつない。一番盛り上がったのは、先週のメルシーに引き続いて聴けた、大好きな「たたみちゃんのテーマ」でした。
続いて、お二人のセッション。なんと、嬉しや、ミュージック・ヘアーのアルバム『ピリーソウル』から「鴨ネギ音頭」でスタート。玲さんの曲では「オキナワで二番安いシーサー屋のおじいは言った」「どっちがしょぼいかな」「ヒナのうた」。あこさん主導の民謡も交え、楽しいセッションでありました。
そして、今夜、一番盛り上がったのは、アンコールの「さげまんのタンゴ」の共演でしたね。アンコール、あって良かった~。初めて聴く方には、やはりインパクトは強烈でしょうから。・・・フライデイなので書きますが、クレイジーケンバンドの横山さんが、「1107 イイオンナ」のシングルのカップリングで、アルバム『ミント・コンディション』を紹介するDJコーナーがあって、そこで、横山さん、「歌詞は経験に基づいてるんですか?」とか聴かれるけど、事実ばっかりってわけじゃない、フィクションも入ってると、話していて。「あんまり、事実で、歌詞書いちゃうと、生々しくなっちゃうでしょ」と、お客さんを意識した発言があった。横山剣という人のプロフェッショナル精神のあらわれで素敵なんだけど、その辺、玲さんは違う。柴草玲さんは、ノンフィクション・シンガー・ソングライターとして、「事実」に基づくうたと宣言、故に、その「生々しさ」の方を、お客さんにもある意味突きつけてる形を取って、そこに、そうであればこそ香るものを現出させているんですよね。まさに、生々しくね。だから、そういう世界だから、そりゃあ、聴き手にもしんどさはある。しんどさと共にあるたのしみ。変な意味じゃなく。柴草玲のプライベートへの覗き趣味とはまた違うのだ。遠峰あこさんも、最近、共演をきっかけに玲さん中毒で、ライブにも出かけられるそうで、「目が離せない」っておっしゃっていたのだけど、私達ファンも「わあ、どうしようどうしよう」ってところがあって、でも、どうしようもあるはずもないんだから、全然いいんだけど、うん、でも、「目が離せない」って表現は、やっぱりぴったりですよね。・・・でも、ファンとしては生々しさはやっぱりしんどいから、玲さんがフィクション・シンガーであってもいいのにって、思ってるのは、本音なんですが。エキセントリックな部分を見せなくても、素晴らしい音楽家であることは確かだと思いますから。・・・一応、今後、期待の展開としては、新譜『さげまんのタンゴ』がブレイク。ステージでは、「さげまん」的な柴草玲を期待する新しい聴衆に向けて、あくまで、まっとう・シリアス・音楽家の柴草玲を提示、みたいな、がっつりした「裏切り」を見たいなあって、思います。
ただ、私も、仕事してても思うことなんだけど、いわゆる「世間」って、さっぱりわからない。「ヒット」と切り離せないのが「世間」の評価ってわけだが。だけど、そんなもの、すっごくどうでもいいようなところに来つつある。もはや、世間なんて、実体があるような、ないような。・・・例えば、若い頃、毎年楽しみにしていた「紅白」。そこに「世間」があるのかどうか知らないけど、似たようなものとしての「紅白歌合戦」。たぶん、そこには、もう、それが「紅白歌合戦」であるという以上の何かなんて、もうないんだろうと。もう一回、俺たちは、経済的なことひっくるめ、やり直すタイミングに来ているんだと。だから、柴草玲さんみたいな個性的な音楽家は、いやしないんだが、それを奇特と見るのではなく、そのひとそのものとして、自分の中に再構築していく試み。世間なんてものと、ずっと離れたところにある、よきもの。うん、よきもの。売れようが売れまいが、お客さん多かろうが少なかろうが。・・・そんなこと考えさせられちゃう。やはり、柴草玲さんは、(少なくとも私にとって)スゴイんだよなあと、ひとり、得心するのでありました。
この日、ブツを交換した玲さんファンの女性とお話ししてて、彼女は、最近ペルーに10日ほど旅行してきたんだそうで、私も、話を聞きながら、頭の中だけ、ペルーに出かけてみた。そういうところから、我々の今こうして当たり前にいる社会生活を眺めると、これがこうでなければならないなんてことは、どこにもないって気づかされるんだろうなと、そう思った。こういう夜は、得難いなあ。自由に憧れ、しかし、自由を手に入れることを恐れる日々は、これからも続くんだろう。
明日の朝に備え、深夜、横浜から栃木にクルマを吹っ飛ばす帰り道。何故か「翼をください」を、口ずさむ私。
いま富とか名誉ならば
いらないけど翼がほしい
子どものとき夢みたこと
今も同じ夢に見ている
この大空に翼をひろげ
飛んで行きたいよ
悲しみのない自由な空へ
翼はためかせ
行きたい
(作詞 山上路夫 作曲 村井邦彦)
自分でも、書いてて、なんのことやらわからない。今日は、書き散らかしたまま、終わりにします。柴草玲さんのライブ、次回は、お待ちかねのノエル。たのしみです!