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2011年1月18日 (火)

◆渋谷毅(pf)ソロ@西荻窪アケタの店・夜中 1/15

アケタの店。夜中の渋谷さんのソロ。毎月恒例で、楽しみにしてるけど、この夜は、出かけるのが、ちょっとつらかった。古澤さんのライブを7日に見て以来のアケタの店、渋谷さんの古澤さんへのやさしい想いは、何度かお話したときに伝わっていたから、ひどく悲しんでおられるだろうと。僕らだって、これだけ寂しいのだから。西荻窪在住だった古澤さん。アケタの店。渋谷さん。・・・ライブに行って、渋谷さんはじめ皆さんの悲しい顔を見るのはつらいなと思っていたのだ。

入り口には、「渋谷毅(pf)ソロ 0:00頃から」と書かれた黒板に、そっと古澤良治郎さんの葬儀の案内の紙が置かれていた。扉を開ける。アケタの島田さんは、いつものように、やさしい笑顔で、今夜も(渋谷さんの夜中)皆勤ですね、って伝わるような表情。いつも通り。ほっとする。それも、島田さんらしいやさしさだと思いました。

しばらくすると、渋谷さん到着。古澤さんのお通夜からの帰り。それからアケタまでの間に、だいぶ飲まれたようで、「今日はちゃんと弾けるか心配」と、おっしゃって。でも、落ち着いた笑顔で、ほっとする。

私の伝え聞く古澤さんのイメージは、繊細な傷つきやすい面をもって、病気がちでもあった方で、でも、渋谷さんは、「古澤さんは落ち込むときはひどく落ち込んでしまうけれど、必ず立ち直る人だから」って、そう理解していて、大丈夫って、そんなことを何度かおっしゃっていた。詳しい話は聞いていないけど、20年も一緒にやってこられた渋谷さんのオーケストラを古澤さんは昨年抜けてしまったけれど、でも、渋谷さんは、古澤さんとのセッション、その後もたのしまれて、昨年の古澤さんのバースデイ・ライブや、今月6日のアケタ4daysの3日目、即ち、僕が出かけた前日には、渋谷さんは飛び入りゲストで、ね3に参加。この日は、渋谷さんがキーボードを弾きまくっていた為、古澤さんはドラムに集中して、すごく楽しい演奏だったと聞いた。おふたりの間にある関係を、世間では「友情」とかって言うのだろうけど、そういう軽薄な言葉では理解できない何かがあるように感じていた。

◆渋谷毅(pf)ソロ@西荻窪アケタの店・夜中 1/15

演奏は、渋谷さんが、ピアノに向かって、こう話して始められた。

「一昨日、古澤良治郎さんが亡くなりました。今夜、お通夜で、古澤さんはとてもきれいな顔をしていました。人は必ず死ぬので、何も珍しいことではないんですが。それで、今日は、デューク・エリントンの片腕だったビリー・ストレイホーンが書いた蓮の花、ロータス・ブロッサムという曲を最初に演奏します。エリントンがこの曲を演奏すると、ストレイホーンは大変喜んだと言います」

それだけ話して始められた「ロータス・ブロッサム」。涙が溢れて止まらなくなった。何十回も聴かせて頂いている、渋谷さんの代表曲だし、ビリー・ストレイホーン追悼盤『アンド・ヒズ・マザー・コールド・ヒム・ビル』でのエリントンによる胸を打つ演奏をはじめとして、この曲の持っている崇高な美しさにふるえつつ、蓮のイメージと相まって鎮魂の曲としての印象を常々感じてきたのだけれど、でも、今日ほど、渋谷さんがおっしゃった言葉そのままの意味でこの曲に身をまかせたことはなかった。感動した。そして、とてもとても寂しい気持ちに覆われた。

この日の演奏は、約30分の2セットで、いつもより短め。でも、どの曲も、なんだか、とてもやさしくて、美しくて、かなしくて、胸に染みた。

休憩時間は、古澤さんの話。思えば、今月7日のライブ初めは、渋谷さんの高円寺グッドマンでのソロにしようか、実はすごく迷って、西荻窪アケタでの古澤さんのね3に決めたのだった。それが、古澤さんの最後の演奏だった。「7日に見れて、よかったね」と渋谷さん。「そうですね」と。「渋谷さん、身体大事にして、長生きしてください」と余計なことを言う私。そこから、若い頃のオクスリの話になったり、笑顔で、今もその辺の上空をゆらゆらと飛んでいそうな古澤さんを、しのんだ。

やっぱり来てよかったのだ。「7日に、らっきょう、持っていけばよかった」と後悔している旨、話したら、みなさんに笑われた。「血液さらさら」だからなんだけど。もしかしたら、いい効果あったかもしれない。でも、自分で言っててなんだけど、よく考えたら、たしかに冗談みたい。そんな言葉も、天国の古澤さんが言わせているのかも。

東京に泊り、翌日、11時から、南青山の梅窓院での古澤さんの告別式に参列、でも、お焼香だけで、失礼させて頂いた。いろいろいたたまれなくなってしまったのだ。最後、鳴りやまないスタンディングオベーションで送られたという古澤さん。葬儀の引き出物には、『大往生』のビデオが含まれており、勿論ご本人が決めたわけではないのでしょうが、古澤さんらしいユーモアにも思え、しかし、65歳で大往生か、と。

一月の素晴らしい青空の下、不世出のミュージシャンが旅立たれたのでした。

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